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携帯電話など移動体向けの地上デジタル放送「ワンセグ」が今年4月から全国で順次始まる。
テレビ放送を同時に携帯電話で視聴できるようになり、テレビ局や携帯電話会社、広告会社など関連各社は新たなビジネス機会とみて期待を膨らませる。
ただ、テレビ局にとっては広告収入の増加がしばらく見込めないなど悩みも多く、手探りの運用が続く。
携帯電話の画面の上半分は、女子高生3人が美容室やネールサロンを紹介する情報番組。
下半分のデータ放送部分には、店舗の詳細な情報。ボタンをクリックすると画面がインターネットに切り替わり、テレビ局の携帯サイトから視聴者プレゼントに応募できる――。
幕張メッセ(千葉市)で昨年11月に開かれた国際放送機器展で、TBSと博報堂DYグループなどが披露したワンセグ携帯電話のデモンストレーションだ。
「放送と通信の融合が手の中で起こる」と、博報堂で事業を手がけるデジタルネットワーク推進室の水谷典雄さんは言う。
NHKや民放各社は昨年暮れからワンセグの試験放送を始め、受信状況などを最終点検中だ。
4月には三大都市圏や一部の地方放送局で本格放送が始まり、今年末までに全国のほとんどの局が加わる。
対応端末は、KDDI(au)が昨年12月に初めて発売。「予想を上回る売れ行き」(KDDI)でほとんどの販売店で品薄状態だ。
ワンセグの特徴の一つは、携帯電話やカーナビなどで視聴できるアナログ放送に比べて鮮やかな画像だ。
博報堂DYグループが昨年11月、学生中心の約100人に実際に端末を見せてアンケートをとった結果、80%が外出時に、32%が交通機関を利用中に見たいと答えた。
「携帯電話でしか見られない状況でテレビをみてもらえる。
新しい視聴者を獲得できる」とTBSの湯川哲生1セグ放送開発部長は期待する。
携帯電話以外の業界からの期待も高まる。
パイオニアが昨年11月に発売したカーナビの一部製品では、今年4月にソフトをダウンロードすればワンセグを見られるようになる。
また、ソニーは今月下旬、ワンセグチューナーを搭載したノートパソコンを発売する予定だ。
大きな特徴のもう一つはデータ放送。
放送局は携帯電話の画面下半分に文字情報などを盛り込むことができる。
ニュースや天気情報、次の番組の予告などを流せば、視聴者をさらに獲得できる。
また、テレビ朝日メディア戦略室の大場洋士さんは「ワンセグのデータ画面からなら、利用者が途中で面倒くさくならず、自社サイトへ導きやすい」とみる。
放送局各社は、着メロや物販などの課金サービスを、携帯電話用の自社サイトで展開している。
ワンセグ経由でテレビ番組から直接客を誘導してしまうというわけだ。
「いずれすべての携帯電話に標準装備され、テレビの視聴時間が大きく増える。
データ放送やネットとの連携でテレビのメディアとしての価値も上乗せされる」とドイツ証券の小池隆由アナリストはいう。ワンセグの広告効果は最大4千億円にのぼるとみる。
携帯電話会社も動き出している。
NTTドコモは昨年12月、フジテレビに約200億円を出資して業務提携すると発表。ワンセグでの連携が大きな目的の一つだ。
KDDIも番組中やCMで流れる楽曲名を自動検索し、着うたとしてダウンロードしたり、CDを購入したりできる仕組みを開発。課金サービスでの収益増を狙う。
ただ、すぐに各社の収益増につながるわけではないようだ。
固定テレビと同じテレビ広告がワンセグ向けにも流れるが、今のところワンセグの視聴率を測る手段はない。
「ワンセグ携帯がどれほど普及するかも予想できない。
広告主に、ワンセグ分の広告費を上乗せして欲しいとはとても言えない」と大手局。
このため、業界では、早くも固定テレビと同じ番組を流す「サイマル放送」からの脱却を求める声が高まり始めている。
全国の放送局が一斉に免許更新を迎える08年には、法改正の議論が高まる可能性が高い。
「独自の番組に独自の広告が載るようになれば、この時こそワンセグ元年になる」(大手広告会社)との声が聞こえる。
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